大塚駅前停留場から向原まで続く
美しく心温まるバラロード
南大塚都電沿線協議会
荒れ果てた沿線を整備し
25年前のバラと出会う
都電荒川線の「大塚駅前」と「向原」を結ぶ沿線は、豊島区を代表するバラの名所です。この地区のバラを長年管理しているのが「南大塚都電沿線協議会」の皆さん。豊島区の「豊島にぎわい創出機構」を中心に行われた都市活性化事業の一環として、大塚では地域のシンボル都電を活かした街づくりが計画され、商店街や町会の人たちが2008年に同会を発足しました。皆さんがまず始めたのは沿線の整備。「とにかく不法投棄のゴミがものすごかった。バイクや自転車、ベッドまで捨ててあってね」と当時を振り返る会長の小山健さん。雑草や雑木もすべて伐採し整備活動は約1年間続きました。「そうしたら雑木の中から、古いバラの木が100株くらい出てきたんですよ」。約25年前に区の緑地計画で植えられたバラ。ゴミに埋もれながらも枯れずに生き残っていたその姿に、小山さんたちは「ここをきれいなバラロードにしよう!」と決意しました。
9つのエリアが12に増え
2019年バラロードが完成!
2010年1月、第3日曜日を定例作業日と決め、約20名のボランティアで活動をスタート。この年300種、410株のバラを植樹し、10月にはなんと「第20回全国花のまちづくりコンクール」において最高賞にあたる「花のまちづくり優秀賞」を受賞。以後、仲間もバラもどんどん増えていきました。2012年5月「大塚バラまつり」を初開催、都電とバラの「フォトコンテスト」も同時にスタート。以来、毎年春と秋に開催されるこのおまつりは、いまや大塚の風物詩です。
こうした活動が注目を集め2015年「花のまちづくり大賞」、2019年「みどりの愛護感謝状」、「緑の都市賞 都市緑化機構会長賞」など各方面から表彰されました。「花を育てる場所に制約のある都市部で、区や地域住民や企業の人が協力し合って活動を継続していることで評価をいただいたようです」と小山会長。最初は9カ所だった沿線のエリアも、2019年には12カ所に増えました。「我々が最初にイメージした大塚バラロードは、ひとまずこれで完成!」と胸を張る小山さんは、すでにその先をイメージしているようです。
仲間とバラを街中に
都電沿線にも広げていきたい
は小学生から上は90代の方まで、今や登録ボランティアは約80名。「バラの手入れはもう、ちょっとしんどくて」という方には「バラ見守り隊」として、顔を見せてもらえるだけでうれしい、と小山さんは言います。「散歩しながら気付いたことがあれば“ゴミが落ちてたよ”とか“枝が折れてたよ”とか、教えてくれるだけでいい。地域とずっとつながっていてほしいんですよね」。新しいマンションも増え、新規会員も毎年10人ほどいるそうですが、今後は近隣大学のサークルなどと連携できたらと小山さんは期待します。「マンパワーとしてもですが、これからの情報発信はやはりSNSだと思うので、若い人たちのアイデアやスキルをぜひ借してほしいですね」。
月1回の定例作業以外に、年2回の大規模剪定、12のエリアごとの個別活動と、「南大塚都電沿線協議会」の皆さんの愛情をたっぷり受け、毎年美しい花を咲かせる大塚のバラ。バラが難しいと言われる理由のひとつに虫がつきやすいことが挙げられますが、同会ではすべて無農薬で栽培しています。「バラって香りが素敵でしょ。皆さんに安心して顔を近付けて香りも楽しんでほしいんです」と、小山さん。
2020年は新型コロナウイルスの影響で5月の「大塚バラまつり」も中止になってしまいました。「おまつりはできなくても、バラたちは元気に、きれいに咲いていましたよ。秋にもまた咲いてくれるでしょう。バラの花を大塚の街の中にも広げていきたいし、都電の沿線にも広げていきたい。他のエリアの方たちと連携して、いつか早稲田から三ノ輪までずっと、バラでつながったら素敵ですよね」。