個性豊かなおでんを
食べにきたくなる北区
北区おでん部
北区の自然と歴史が
育んできたおでん文化
「北区おでん部」の活動がスタートしたのは2010年。「ちょうどB級グルメも流行っていたころで、北区と東京商工会議所北支部とで地域事業の活性化を考えたときに、北区にはおでんがあるじゃないかってことになったんですよね」と話す平田賢さんは、北区おでん本部の実行委員長。王子駅前で自身が営む居酒屋でも、もちろんおでんを提供しています。「北区おでん」って、どんな特徴があるのでしょう。「北区おでんに定義はありません。いろんなおでんを食べられる街、それが北区。もともと秩父水系の伏流水や荒川など、良質な水に恵まれていたことから、北区には豆腐やおでん種のお店が多いんですよね。一方で、ものづくりの街として工場がたくさんあったので、そこで働く人たちが屋台でおでんを食べていたことから、まちの味として広がったようです」。
2013年には、10月10日を「北区おでんの日」と制定、11月30日までの約1カ月を「北区おでん月間」として、クーポンを発行するなど、街を挙げてPRしています。「10月10日にしたのは、おでんの具材を串に刺した形(一○一○)をイメージして(笑)、時期的におでんシーズンの始まりでもありますしね」。
全国のおでんイベントに参戦
おでんの多様性を知る
北区おでん部の活動も、気付けば2020年で10年。その間には、日本随一の規模を誇る静岡おでんフェア、小田原おでんサミットなど ほぼ毎年、全国のおでんイベントに参加し、北区おでんをPRしてきました。「一番遠いところでは、松江まで行きましたね。意気込んで300食用意して行ったら、10月だったのに、まさかの気温28度!いい旅行になりました(笑)」。それでも、全国のおでんと出会うことで、おでんという食文化について改めて考えるようになったという平田さん。「なんだかんだ、おでんを語れるようになっちゃいましたからね」と笑います。
「おでん」とは元々、田楽を意味する女房言葉。室町時代に出現した料理で、種を串刺しにして焼いた「焼き田楽」のほか、種を茹でた「煮込み田楽」があったといわれています。「地域によって具材もだしも味付けもこんなに違うって面白いですよね」。おでんの違いといえば、よく話題に上る具材に「ちくわぶ」がありますが、北区おでんには、ほぼちくわぶが入っているそうです。「ちくわぶの発祥とか、文化圏とか、ドロドロ派か、固茹で派かで、お客さん同士でも盛り上がるんですよね」。
北区が全国から注目される
2021年に向けブランディング
北区おでん部では、毎年飛鳥山公園で開催される「北区さくらSA*KASO祭り」にもおでんを出店してきましたが、2020年は新型コロナウイルスの影響で、お祭りそのものが中止になってしまいました。「食べ物を扱うイベントは当分できないでしょうね。おでん部のメンバーはみんな飲食業なので商売のダメージも大きいです」。それでも平田さんたちは、その先の希望を見つめています。「2021年には北区に大河が来ますからね!」飛鳥山といえば、日本が誇る偉大な実業家、渋沢栄一ゆかりの地。2021年のNHK大河ドラマは渋沢栄一を主人公にした『青天を衝け』が放送される予定で、飛鳥山を中心に北区にも全国の注目が集まることが期待されています。「全国から北区に来てくださる方々をおもてなしできるよう、北区おでんをしっかりブランディングしていきたい」と意気込みを語る平井さん。さらに2024年には新しい1万円札に渋沢栄一が登場することも決まっています。「このチャンスに、北区おでんを全国的にPRできるよう、キャラクターグッズなども作りたいですね」。北区おでん部には「北のでん兵衛」というかわいいキャラクターもいるのです。都電荒川線のマスコットキャラクター「とあらん」とのコラボなんて、どうでしょうか。「過去にはあらかわもんじゃと街コンをやったりもしているので、コロナが落ちついたら、都電の貸し切りイベントなんかもやりたいですね。それまではSNSで情報発信するくらいしかないのかな…。皆さん、“いろんなおでんが食べられるまち北区”に、ぜひ都電に乗って遊びに来てくださいね」。