都電の通る商店街、途中下車して梶原へ
人情味あふれる商店街

都電の通る商店街、途中下車して梶原へ 人情味あふれる商店街
商店街系

梶原銀座商店街

お地蔵さんを守る
縁日で賑わった商店街

お地蔵さんを守る
縁日で賑わった商店街

都電荒川線「梶原」停留場から、北に約300メートル続く商店街が梶原銀座商店街です。都電をかたどったアーチをくぐるとすぐ左手に、都電もなかで有名な「明美製菓」があります。創業1957年(昭和32年)、二代目の久保裕子さんは、梶原銀座商店街振興組合の会長です。「もともとこのあたりは秩父の豪族、豊島氏が治めていた土地で、この道は江戸城に登る道だったそうです」と歴史を紐解く久保さん。商店街の中には愛宕地蔵があり、毎年10月3日が法要日。これにちなみ毎月3のつく日には縁日が立ち、それはそれは賑やかだったそうです。「うちの前からお向かいの店に行くにも人をかき分けるようでしたよ。ちょっと信じられないでしょうけど」。
また、毎年夏には近隣中学校の吹奏楽部や、和太鼓チームなどが出演するの「かじわら納涼まつり」も開催してきました。けれど年々、商店街の組合員も、縁日に出店する露天商も減り、こうした行事を継続するのは難しくなってしましました。

地域の子どもたちの
笑顔があふれる「みち遊び」

地域の子どもたちの
笑顔があふれる「みち遊び」

そんな中、何か新しい取り組みをと2019年に始めたのが「みち遊び」です。「商店街の道幅を利用して、夏と冬に開催しました。夏は人工芝を敷いて水鉄砲や、テントの下でベーゴマ、おりがみ、しゃぼんだま…」。昔懐かしい遊びに、地元の子どもたちが喜んで参加したそうです。「冬は大縄跳びをやったんですけど、ちょうど小学校の餅つき大会と重なっちゃって、ああ無理かなと思っていたら、お餅つきを終えた子どもたちが“来たよー!”って大勢で来てくれて、嬉しかったですね」。
近くに大型スーパーができるとお客様を取られてしまうのは日本中どこの商店街も抱える悩みです。だからこそ、子どもたちに商店街の楽しい思い出をひとつでも多く届けたいと、久保さんたちは考えています。「子どもたちは未来のお得意さんですから」。

大学生のアイデアで
商店街の魅力を発信

大学生のアイデアで
商店街の魅力を発信

2019年には、北区内の商店街および中小企業が協力して、区内商工業をPRする事業「魅力発見!北区東京 学生プレゼンコンテスト」のテーマに取り上げられた「梶原銀座商店街」。東洋大学、成城大学、東京成徳大学の学生たちが、それぞれに「梶原銀座商店街」の現状、課題を分析し、魅力を発信するためのアイデアを競いました。「学生さんたちが半年くらいかけて、商店街に通って、一生懸命考えてくださってありがたかった」と久保さんは言います。その中で優秀賞を受賞した東洋大学経済学部鈴木ゼミナールの学生さんたちが考えた「子ども用品とりかえっこ事業」を実現する準備を進めていたところにコロナ禍がおしよせ、すべてのイベントが中止になってしまいました。「子供服の無料交換会なので、みち遊びと併催することで、子どもを遊ばせながら親御さんたちが交流できると思ったのですが…」と残念そうではありますが、コロナが落ちついたら再始動すべく、久保さんたちは準備を進めています。「すでに近隣の方々から子供服は集まっていて、サイズ分けもしてあるので、あとは開催するだけです」。
昔ながらのふれあいや人情を大切に守り続ける「梶原銀座商店街」も、今、都電荒川線を含む道路の拡幅整備により、大きく姿を変えようとしています。「街は時代とともにどんどん変化しますからね。私も自分が子どもの頃の商店街を覚えているように、今の子どもたちには今のこの風景をしっかり心に刻んで、伝えていってほしいですね」。
都電荒川線の停留場の中でも、独特の風景を残す「梶原」停留場、そしてそこから続く「梶原銀座商店街」に、ぜひ会いに来てください。

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