のんきにお散歩を楽しめる
昭和の風情が残る商店街

のんきにお散歩を楽しめる 昭和の風情が残る商店街
商店街系

雑司が谷弦巻通り商友会

弦巻川の暗渠の上に
生まれた商店街

弦巻川の暗渠の上に
生まれた商店街

都電荒川線「雑司が谷」停留場と「鬼子母神前」停留場の間にある「雑司が谷弦巻通り商友会」は、昭和20年代後半から形成された歴史ある商店街です。「この弦巻通りの由来は、昔存在した、弦巻川という川でした」と、この地の歴史を説明するのは同会の会長である清田明さん。「かつて池袋にあった丸池というのが水源で、昭和7年に暗渠化されて、今の通りができたんです」。どうりで曲がりくねった大きな通りだと思いました。暗渠ですから、今も地下で弦巻川は流れているのだそうです。
「高度経済成長期の昭和50年頃は約70軒を超える店舗があって、夕方には歩行者天国になるくらいの賑わいでね。今はお店が半分くらいに減っちゃいましたけど」と、ちょっぴり寂しそうな清田会長ですが、昭和の面影が残るこの通りに惹かれて、新たにこの地で商売を始める人もいます。古本と占いのお店「ジャングルブックス」を営む田波健さんもそのひとり。商友会の副会長であり、都電サポーターズ仲間の本を仕事にする人たち集団「わめぞ」のメンバーでもあります。「元々、本が好きで“わめぞ”の活動で“みちくさ市”に参加するようになって、雑司が谷っていいなあと思って10年前にこの商店街の別な場所で店を始めて、2年前に今の場所に移転しました」と田波さんが話す“みちくさ市”とは、お隣の商店街「雑司が谷鬼子母神通り睦会」で開催されるイベントです。都電サポーターズはこんな風につながっているんですね。

昭和の懐かしい趣きを
ちりばめた「のんき市」

昭和の懐かしい趣きを
ちりばめた「のんき市」

お隣の商店街が“みちくさ市”なら、「雑司が谷弦巻通り商友会」のおまつりは、2014年から年に1回開催している「のんき市」です。針金細工や大道芸人、紙芝居、ちんどん屋さんも登場して、昭和の懐かしいものにたくさん出会える1日です。各商店ではスタッンプラリーを実施し、集めたスタンプの数に応じて商品券などが進呈されます。「スタンプも手作り、はんこ作家さんが1軒1軒、お店の特徴をイラストにしてくれているので、集めるのも楽しいですよ」と田波さん。
2020年の「のんき市」は新型コロナウイルスの影響で中止になってしまいましたが、弦巻通り商友会には、月に1回、土曜日に紙芝居屋さんもやってきます。「最後の街頭紙芝居師と呼ばれた方から引き継いたジャンボさんという紙芝居師が毎月来てくれて、ここで子どもたちに紙芝居を見せてくれる」と、会長が説明してくれた場所とは、商店街の中ほどにある数軒の店が軒を連ねる「雑ニストアー」。昭和の佇まいを残すそのロケーションは、水飴を練り、モール細工をいじりながら紙芝居を楽しむ会場にぴったりです。

雑司が谷ナスを育てながら
この街の魅力を発信

雑司が谷ナスを育てながら
この街の魅力を発信

弦巻通りの店先では最近プランターで、ある野菜が栽培されています。それは「雑司が谷ナス」、江戸東京野菜のひとつです。「このあたりで昔から作られていたナスの苗を、協力店の店先で育ててもらっているんです。ナスがなってるところなんて見たことのない子どもも多いでしょ。買い物帰りにお母さんと一緒に足を留めてもらって、道行く人や店の人と交流のきっかけになって、子どもたちが自分のふるさとにこういうものがあったんだと思ってくれれば」と清田さん。将来的には飲食店で雑司が谷ナスを使ったメニューが提供できるように育てていくのが夢です。
広報を担う田波さんも、大勢の人を呼ぶイベントができないなら「“のんき市新聞”を作ろうかな」と構想中です。「雑司ヶ谷ナスの話や、商友会だよりのようなものを各店舗に置いて、また来たいな、住みたいな、いい街だなと思ってもらえる商店街を目指しています」。
60年在住の会長と、この地で商売を初めて10年の副会長、新旧それぞれの視点で街を思い、街を活気づける取り組みを続けている「雑司が谷弦巻通り商友会」。
「大都会池袋から徒歩で20分で、雑司が谷にくると“街の雰囲気がガラッと変わる”っていう方が多いんですよ」と、清田会長。皆さんもぜひ都電に乗って、鬼子母神前で降りて、のんきな街歩きを楽しんでみませんか。

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