本に関わる仲間が集まり
商店街を古書店街に

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おもてなし

わめぞ

本屋を飛び出し街角で
縁日のような古本市を開催

本屋を飛び出し街角で
縁日のような古本市を開催

 「わめぞ」とは、古書店主を中心に、出版や編集など本に関わる人たちが自然につながり合って誕生したグループ。約10人のメンバーで2006年に活動をスタートしました。早稲田、目白、雑司が谷エリアのメンバーで始めたので、「わめぞ」と命名。「谷根千(やねせん)のパロディ的に、わざとダサくしてみた」と、シャイな笑顔で成り立ちを語る代表の向井透史さん。早稲田の古書店街にある「古書現世」の二代目店主です。

古書と古道具などをごちゃまぜに販売する雑司が谷の「古書 往来座」や、本とギャラリー、本と雑貨など、複合的スタイルに挑戦する本好きな仲間とともに、「わめぞ」はさまざまなイベントを実施してきました。

 「いろいろな本屋さんを集めて“街角古本縁日・外市”というスタイルで、イベントをやっていくなかで、目白の月の湯さんで古本まつりを開催させてもらい、それがメディアの注目を集めて、問い合わせが増えたんです」。そのオファーのひとつに、2008年の副都心線「雑司が谷駅」開業イベントがありました。

ある商店街との出会いから
「みちくさ市」が誕生

ある商店街との出会いから
「みちくさ市」が誕生

雑司が谷駅周辺の4つの商店街合同で開催された開業イベントに、お得意の古書店市を出店した「わめぞ」。その商店街の中に、わめぞの活動に特別な興味を示した人物がいました。雑司が谷鬼子母神通り商店睦会の会長、剣持直樹さんです。「場所は商店街が用意するから、君たちの好きなようにやっていい、と声を掛けていただいたんです」。向井さんは当時を振り返ります。「ちょうどその頃僕らも、自分たちだけでなく一般参加型のフリーマーケット的イベントをやりたいと思っていたので、タイミング的にもばっちりでした」。2008年11月、鬼子母神通り商店睦会の軒先を利用し、古書を扱うプロと一般の人が店を並べ、商店街が1日だけ古本街にかわる「みちくさ市」がスタートしました。「イベント名にはこだわりました。古本だけでなく、いろんな人がいろんな文化を持ち込めるように“古本”とはつけたくなくて。本をきっかけに商店街が活気づいて、1日遊べる文化祭みたいなイベントになればいいなと思ったんです」。以後、隔月開催される「みちくさ市」は、回を重ねるごとに、わめぞメンバーがイメージした通りの進化を遂げてゆきました。

都電のある商店街から
新しいストリートカルチャーを

都電のある商店街から
新しいストリートカルチャーを

 2020年1月の開催以降、新型コロナウイルスの影響で中止を余儀なくされた「みちくさ市」。わめぞのメンバーにとっても、「みちくさ市」は今やメインの活動の場。建物の中ではなく屋外だからこそ、さまざまなチャレンジができる場でもあります。「路上だからこそできる面白さがあって、おしゃれな雑貨ブースの隣に、ものすごくコアなサブカル系のブースが並んでいたりする。お客さんも通りすがりで立ち寄れる気軽さがある。幅広く異色な人たちが、それぞれ楽しんでそこにいる」と、向井さん。

 「みちくさ市」の会場である鬼子母神通りの商店街は、ちょうど真ん中を都電荒川線が横切っています。その景色は「みちくさ市」目当てで初めてこの街を訪れた人にも評判がいいといいます。「都電に乗ったことがない人はびっくりするみたいですね。会場のど真ん中を路面電車が走っているので」。将来的には都電と連携したイベントもできたら、と向井さんは夢を語ってくれました。「都電の1日乗車券で乗り降りしながら楽しめる沿線古本市とか、三ノ輪から早稲田まで貸し切りトークショーとか、沿線の都電サポーターさんたちと連携して、本を媒体とするイベントを開催して、新しいストリートカルチャーを発信できそうな気がします。都電ってキラーコンテンツだと思うんですよね」。

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