商店街の魅力発見

梶原銀座商店会

梶原銀座商店会

「こばやし玩具店」 小林佐仲さん

戦後から令和まで
変わりゆく梶原の町

梶原停留場からすぐにある通りはかつて、八百屋や鮮魚店、衣料品店などが軒を連ねる「梶原銀座商店街」として賑わいをみせていました。通りの半ばほどにある「こばやし玩具店」の店主・小林さんは、昭和40年代に商店街が立ち上がる以前からこの梶原で商いをしてきたひとりです。「ここで店を始めたのは、戦後疎開先から生まれ育ったこの地に戻って、母親が惣菜店を始めたのが最初ですね」。御年90歳とは思えないほど元気な声で話し始めてくれた小林さん。「惣菜店のあとは私の代でおもちゃ屋に変えたんだけど、全盛期にはこの商店街も60店くらいあったんじゃないかな。通りの真ん中に愛宕地蔵尊があって、縁日には通りにずらっと露店が並んで、東京一の賑わいだって言われてたんだ」。当時の様子を、昔の写真を広げながら話してくれました。

「うちはブリキの都電や、都電モチーフのおもちゃを扱っているから、それを求めてくるお客さんが多くて、海外からもお客さんが来てくれるからうれしいね。でもブリキの都電は、もう作り手がいなくなってしまったから、店にあるのが最後。商店街も、店を引き継ぐ人が減ってきて、いまはもう全盛期の半分くらいの店舗になってしまいましたね」。50年以上、この町を見続けてきた小林さんの言葉は、感慨深いものがありました。

学生と取り組む
新たなチャレンジ

梶原銀座商店街がある北区では毎年、「魅力発見!北区東京 学生プレゼンコンテスト」という大学生向けのプレゼン大会を開催しています。区内の商工業をPRする目的で、学生にさまざまなアイディアを出し合ってもらう取り組みです。このコンテストで2019年のテーマになったのが、梶原銀座商店街でした。学生たちが半年くらいかけて商店街を取材して客層のリサーチやインタビューを行い、商店街を盛り上げるイベントなど、さまざまな企画を考えてくれたといいます。コンテストで準優勝した東洋大学の学生が考えたイベントを実際に商店街で開催する予定だったそうですが、開催に向けて、学生と一緒に準備を進めていた矢先、新型コロナウイルスの流行により、イベントが頓挫。学生さんはもとより、小林さんをはじめ、商店会の会長の久保さんも、皆一度は肩を落としたといいます。ですが多くの時間をともに取り組んできた商店街と大学生の絆は強く、後輩に想いを引き継いでくれた学生や、卒業後、社会人になってもイベントを開催するときは呼んでくださいと言ってくれる学生もおり、来年、再来年の開催に向けて、歩みを進めているといいます。

また商店街にとって2021年は、「商店会」の任意の団体として形を変え、新たにスタートを切る年だそう。どんな形であれ、その町に暮らす人たちが力を合わせ、新しい取り組みにチャレンジする姿勢は、どんな時代も変わらず地域を活気づかせてくれるはずです。

梶原銀座商店会

梶原停留場を降りてすぐにある通り中心にある商店街。入り口の都電を模したオブジェのアーチが目印。

電話番号
03-3919-2354(明美製菓)
会長
久保裕子

こばやし玩具店

50年以上続く老舗のおもちゃ屋。都電モチーフのブリキのおもちゃのほか、流行りのキャラクターカードなどがずらり。

住所
北区堀船3-38-3
電話番号
03-3911-7446
営業時間
10:00~17:00
休み
不定休
アクセス
梶原停留場より徒歩約4分

※価格はすべて税込み表記です。年末年始の休業については各施設にご確認ください。
※このページの情報は2021年07月01日時点の情報になります。営業時間等、最新情報は各店舗にご確認ください。

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