とでんさんぽ

書店をめぐる冒険

街歩きエッセイスト チヒロと行く

書店をめぐる冒険

「古書 往来座」の店内。写真右上の看板は、店主が作ったもの。だんだん錆びていく鉄と錆びないアルミで、時間の経過を表現している。

「NENOi」のカフェスペース。買った本をすぐ読めるのがうれしい。

「NENOi」のカフェスペース。買った本をすぐ読めるのがうれしい。

「NENOi」で購入した3冊。『11ぴきのねことへんなねこ』には忘れられないラストシーンが。

「NENOi」で購入した3冊。『11ぴきのねことへんなねこ』には忘れられないラストシーンが。

こんなふうに生きたいな。ふらりと訪れた店で、人生の指針となるような店主に巡り会えるのも散歩の楽しみのひとつ。

今日の1軒目は、都電雑司ヶ谷停留場から歩いて「古書 往来座」へ。「仕事のすべてが楽しい」と目を輝かせて話すのは店主の瀬戸雄史さん。池袋の古書店に勤めていた瀬戸さんがこの店を開いたのは2004年のこと。本棚を食い入るように見ていると、見慣れない什器を発見した。「ゴンドラ」をもじった「本ドラ」は、瀬戸さんの手作り。ほかにも店内のあちこちに、瀬戸さんのDⅠY作品がひしめく。「自分で作ったものだから壊れても当然だし、そこがいいところなんですよ」と熱弁する瀬戸さん。店内には古書にとどまらず、どうやって使われていたのかわからないナゾの古道具や近所のワタナベさんが描いた絵画まで並ぶ。

そんな往来座にはもう一人、スゴい方がいる。都内の名画座の上映スケジュールを手書きでまとめた『名画座かんぺ』を発行する、のむみちさんだ。ふたりと話していると、大学生の頃に入り浸ったサークル部室にいるようで居心地がいい。それはこの店が「誰にでも開かれた本屋」を理想に掲げているからだろうか。

都電に乗り、早稲田停留場から2軒目の「NENOi」へ。魔法の呪文のような店名は、店主の名字からつけたそう。「人と人が繋がる場所を作りたい」という思いから2017年にオープンした「NENOi」は、店内にカフェスペースを設け、写真展やランニングなど、さまざまなジャンルのイベントを開催する。

「本は一冊一冊が文化なんです」と話す根井啓さんが、店にいつも置いておきたい本は、ミヒャエル・エンデの『モモ』。いつか読もうと思っていた作品が目の前に現れ、連れて帰ることに。「『店にこういう本を置こう』っていうのは決めていなくて。おもしろそうかどうか、それだけです」と話す。おすすめを聞いたら店に置いていない本まで紹介してくれて、ついつい長居。本への溢れ出る愛がこれでもかと伝わってきた。

1.4.「古書 往来座」の店内。写真右上の看板は、店主が作ったもの。だんだん錆びていく鉄と錆びないアルミで、時間の経過を表現している。2.「NENOi」のカフェスペース。買った本をすぐ読めるのがうれしい。3.「NEN
Oi」で購入した3冊。『11ぴきのねことへんなねこ』には忘れられないラストシーンが。


チヒロ

浅草育ちの街歩きエッセイスト。 東京下町さんぽの魅力を届ける WEB マガジン「かもめと街」(www. kamometomachi.com)を運営。 Instagram:@kamometomachi

古書 往来座

映画からアート、絵本まで、幅広いジャンルの本が並ぶ店内は、宝探しのような雰囲気が楽しめる。『名画座かんぺ』からうまれた『名画座手帳2022』(2,200円)が発売中。YouTubeチャンネルも要チェック。

住所
豊島区南池袋3-8-1 1F
電話番号
03-5951-3939
営業時間
12:00~20:00
休み
月曜
アクセス
鬼子母神前停留場より徒歩約7分または 都電雑司ヶ谷停留場より徒歩約9分

NENOi

新刊と古書が6:4で置かれた店内は、絵本や児童書をはじめ、エッセイや漫画、詩など約2,000冊が並ぶ。自主製作のzineや雑貨なども扱い、一部はオンラインショップでも購入可能。

住所
新宿区西早稲田2-4-26 西早稲田マンション103
電話番号
非公開
営業時間
12:00~19:00(金曜~20:00)
休み
日曜
アクセス
早稲田停留場より徒歩約8分

※価格はすべて税込み表記です。年末年始の休業については各施設にご確認ください。
※このページの情報は2021年09月01日時点の情報になります。営業時間等、最新情報は各店舗にご確認ください。

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