とでんさんぽ

レトロ喫茶

街歩きエッセイスト チヒロと行く

レトロ喫茶

「白鳥」の「クリームソーダ」(470円)。まばゆいグリーンのソーダにどっしりとアイスが。

「はまゆう」の「ナポリタン」(コーヒーまたは紅茶付き920円、ランチタイムは870円)。

「はまゆう」の「ナポリタン」
(コーヒーまたは紅茶付き920円、ランチタイムは870円)。

「はまゆう」にある懐かしのおみくじ。

「ねこ」という看板猫がいる喫茶店がある。ジョイフル三の輪商店街にある「白鳥」である。初代のミーちゃんが居なくなってしまった後、たった一匹で、お客さんへ愛想を振りまく「ねこ」。オーナーの金沢さんご家族の愛情をたっぷりと受けているからだろう、お客さんがやってくると、挨拶にまわる。

席を立つと、足もとに「ねこ」がするりと寄ってきた。「撮らせてね」と声をかけ、カメラを向けるとモデルの表情になる。溢れんばかりのクリームソーダを片手に、「ねこ」を眺めているだけで心がゆるみ、いつまでも居たくなる。

後ろ髪を引かれながら、始発である三ノ輪橋停留場へ。「チンチン!」と発車のベルが鳴ると、都電の旅が始まる。

都電沿線には、常連さんに愛され続ける喫茶店があちこちにあって、町屋駅前停留場のそばにある「はまゆう」も例外ではない。お客さんの90%以上を常連さんが占めるとか。

「ミニミニファミリーレストランみたいなもんだよ」とオーナーが笑って話すように、「はまゆう」のメニューの豊富さは、新しく入ったアルバイトがみんな驚くそうだ。初めて訪れた日に食べた「はまゆう」のナポリタンが忘れられなくて、今日もオーダー。スパゲティに絡みつく濃度の高いトマトソースはちょっぴり甘めなのがたまらない。

「『はまゆう』って店の名前、海の家か?ってよく言われるんだよ。伊豆の方へ行くと『はまゆう』って船も見かけるね」と話すオーナー。店名は、奥さんの名前「ゆうこ」に由来すると聞き、温かな気持ちになった。

銅板で作られた花柄のテーブルにワインレッドのソファ。壁には絵の得意な常連さんが描いた絵画が飾られている。窓際の席は都電がちらりと見える、特等席だ。

「また、来ますね」と店を出ようとすると、常連さんまで手を振ってくれた。扉を開ければ、目の前の線路はもう夕日に照らされている。さて、次はどこへ行こうかな。


チヒロ

浅草育ちの街歩きエッセイスト。 東京下町さんぽの魅力を届ける WEB マガジン「かもめと街」(www. kamometomachi.com)を運営。 Instagram:@kamometomachi

白鳥

創業60年以上の老舗喫茶店。純喫茶としてオープンした店を二代目が継ぎ、昼は喫茶店、夜はカラオケスナックとして営業(現在は昼のみ営業)。モーニングセットのほか、ハンバーグなどのランチも人気。

住所
荒川区南千住1-16-4
電話番号
03-3807-0554
営業時間
8:00~15:30
休み
日曜(祝日は営業)
アクセス
三ノ輪橋停留場より徒歩約1分

はまゆう

1980年に創業の喫茶店。サイフォンで淹れる本格コーヒーや豊富な食事メニューが地元の人に愛されている。ナポリタンのほか、カレー、生姜焼きなども人気。オムライスは、テレビで取り上げられた一品。

住所
荒川区町屋2-9-8
電話番号
03-3895-2135
営業時間
8:00~22:30
休み
不定休
アクセス
町屋駅前または町屋二丁目停留場より徒歩約3分

※価格はすべて税込み表記です。年末年始の休業については各施設にご確認ください。
※このページの情報は2021年05月01日時点の情報になります。営業時間等、最新情報は各店舗にご確認ください。

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