沿線の美化活動から生まれたバラロード

ホリエ初めまして。僕、長崎の出身で、長崎市の観光大使をやらせていただいてまして、長崎にも市電があって路面電車が大好きで、そんなご縁で今回、都電沿線の商店街を巡るナビゲーターに抜擢してもらいました。

小山そうでしたか。長崎県と言えばハウステンボスね、あそこもバラがきれいですよね。

ホリエ佐世保市ですね。もともとはオランダ村で、そのころからチューリップとか花で有名でしたもんね。

小山ハウステンボスがリニューアルしたときに、「バラの街」としてプロデュースしたバラソムリエの小山内健さんという方が、たまたまご縁をいただいて、僕らにとってのバラの先生でもあるんですよ。

ホリエえーそうなんですか。大塚のバラはいつからなんですか。

小山僕ら南大塚都電沿線協議会の発足は2008年です。そのころ豊島区では「豊島にぎわい創出機構」を中心に、さまざまな都市活性化事業が行われてましてね。大塚でも地域のシンボルである都電荒川線を生かした街づくりをしようってことで、自分たちの力でもっときれいで活気のある街にするために地域の商店街や住民が協力し合えるように、この協議会を立ち上げたんです。

ホリエ南口に商店街はいくつあるんですか？

小山「サンモール大塚商店街」、「南大塚商店街」、「大塚商興会」、「大塚駅南口盛和会」、４つですね。それぞれの商店街の振興組合の人も、都電沿線協議会のオブザーバーや顧問として参加してくれています。

ホリエちょっと前に久しぶりに大塚に来たとき、大塚っていつの間にこんなきれいな街になってたんだろう、ってびっくりしました。

小山本当にそうなんですよ。都電沿いのフェンスのイルミネーションも、冬はバラを剪定すると殺風景になって寒々しいってことで始めたんです。自分たちの街をきれいにするだけでなく「安心安全の街」を目指し、10年以上かけて、一生懸命、一生懸命、やったんですよ。

きれいなバラが咲くことで
街はさらにきれいになる

小山2009年にまず沿線の雑草や雑木を伐採したら、そこから100株くらいバラが出てきたんです。20数年前に区の公園緑地課が植えてくれたものでした。それで、「ここをきれいなバラロードにしよう！」と、みんなの気持ちがひとつになったわけです。

ホリエ僕歩くのが好きで、この前大塚まで来るのに早稲田あたりからずっと歩いて来たんですけど、ちょうど向原のあたりから都電沿いを来たら、まだバラが咲いていてびっくりしました。

小山沿線のバラは四季咲きなんです。毎年4月に咲き始めて次から次へと、数は減るけれど12月の終わりごろまで、ずっと咲きます。

ホリエ一番の見ごろはやっぱり春ですか。

小山そう、なんといっても5月ですね。2012年から毎年、5月と10月に「大塚バラ祭り」というイベントを開催しているんですが、コロナ禍で2年連続中止。毎年苦労もありますが、なくなるとやはり火が消えたようですよ。

ホリエお祭りって続けていくことも大変だけど、一度止まってしまって、再び動かすのにはもっと力が要ると聞きました。

小山本当にその通りです。そんな中、昨年9月から、近くの西巣鴨中学の生徒さんたちが、SDGｓを考える授業の一環で、都電沿線協議会の「バラ見守り隊」として、ごみを拾ったり、お掃除したりという活動を始めてくれて、とてもうれしいことです。

ホリエただ漠然と「街をきれいに」じゃなくて、バラっていうきれいなものがあるから、きれいなバラを咲かせるために、街をきれいにしていきたいという気持ちになりますよね。

小山相乗効果ですよね。住んでる人だけでなく、近くの会社に勤めている人が、わざわざ日曜日に出てきてボランティアに参加してくれたり。

ホリエきれいな街で働けたら仕事のモチベーションも上がりますね。僕も大塚近辺に勤めている友達がいて、良い飲み屋さんがたくさんあると聞いたので、また絶対に来たいです（笑）。